百錬千鍛手拭い

竹刀の手入れ方法をご紹介いたします。
分解、ささくれの処理、組み付けの方法です。

竹刀のお手入れに使う道具です。

手入れ道具

ラジオペンチ・千枚通し・ろうそく・竹刀削り・竹刀油・タオルです。

竹刀削り・竹刀油は武道具専門店でお買い求めいただけます。

令和2年に諏訪市から辰野町に移転されました武道具専門店の武蔵堂さんで購入させていただきました。

竹刀のお手入れについてもアドバイスを頂戴いたしました。

竹刀割れ

このように竹刀の物打の部分が痛んでしまうと打突時に竹の破片が飛ぶ恐れがありますので、大変危険です。

  

(破片がお相手の目に入る恐れがあります)

  

竹刀を新しい物に変えるか、竹刀を分解してお手入れを行う必要があります。

それでは早速分解します。

中結緩め

まずは中結をはずします。

結び目がきつい場合は画像のように千枚通し等で少しずつ緩めます。

くれぐれもケガにはご注意の上、お手入れをおこなってください。

中結緩め2

中結は3回程、結んで締め付けられていますので、全て緩めます。

緩んだ中結

全て緩めた状態です。

弦アップ

中結を緩めた後は竹刀の弦(紐の部分)をはずします。

柄皮の先端に巻きつけて固定されています。

弦緩め

結び目の根本を探し、千枚通し等で緩めます。

弦緩め指で

結び目を緩めてしまえば、後は手で緩める事ができるようになります。

およそ七巻きから八巻きされていますので、ほどいていきます。

弦根本

巻きつけをすべて緩めると根本の部分が結ばれて固定されています。

この部分も解きにくい場合、千枚通し等で緩めます。

ほどけた弦

弦が解けた状態です。

後は上側の調整皮と柄皮から弦を抜くだけです。

弦外た状態

弦がはずれました。

先皮

次に先皮を外します。

先皮外れる

先皮を外すと先端に先芯(先ゴム)がついています。

この先芯も安全上、大変重要な部品なので、組む時は必ず取り付けられます。

この先芯が無いと、竹刀が先皮を突き破る恐れがありますので、お手入れのあとに組み付ける時に忘れないようご注意ください。

先芯 はずした先芯

この先芯は指で引っ張ると簡単に外せます。

柄皮

先芯を外したら、竹刀から柄皮を外します。

柄皮は簡単に引き抜けない場合がありますので、ゴム手袋をはめたり工夫が必要です。

今回はスムーズに外すことができました。

竹刀は基本的に四分割の竹を組み合わせてあります。

この竹刀は接着されていたので簡単に分割できませんでした。

充分なお手入れを考えれば、左の状態からさらにバラした方がよろしいと思います。

割れた竹刀

ささくれた部分の内側を見ると、竹が完全に割れていました。

ここまで割れてしまうと、再使用できません。

この様な状態の竹刀を使って剣道を行う事は、大変危険ですので絶対にやめましょう!!

竹刀削り

竹刀削りです。

この道具で竹刀のささくれを削り、竹刀の分割面を滑らかにします。

刃になっている箇所もありますので、取り扱いにご注意ください。(手が切れない加工がされていますが…)

大きな窪みは柄を削るとき、小さな窪みは表面を削る時に使うように設計されているそうですが、お手入れしやすいように使ってよろしいようです。

竹刀を削る

ほんの少しのささくれなら窪みの部分で削り、最後に刃の部分で面を整えればOKです。

ささくれを削る場合、必ず一定方向に削ります。

往復で削ると繊維が毛羽立ちかえって荒れてしまいます。

基本的には柄から剣先に向かって削ります。

また、竹刀削りでささくれを取った後は、サンドペーパーや、「竹磨くん」という専用やすりをかけるとより滑らかに仕上げができます。

竹刀・ろう

竹刀の裏面にも油を塗ってあげると竹自体が油を吸って乾燥を防ぐ事ができます。

一番目と二番目の節の裏に塗ります。

(余裕があれば上二つの節の裏に油を染みこませた脱脂綿などを噛ませて縛り、ビニール袋に入れて一ヶ月ほど置いておくと竹は良い状態になるそうです。)

竹刀ろうを塗る

接触部分の面を綺麗に削ったら仕上げに蝋を軽く塗ると長持ちするようです。

竹刀柄皮取り付け

分割された竹刀を組み合わせます。

そのあと柄皮を取り付けます。

縫い目が竹刀の天面中央に位置されるように差し込みます。

ここからは分解の逆の作業です。

先芯を竹刀に取り付け、先皮を差し込み弦を柄皮に取り付けます。

柄皮結着

柄皮の先端の内側から弦を通します。

調整皮

調整皮の右から弦を通します。

弦取り付け

弦を柄皮の内側を通します。

弦テンション

弦を引っ張り、弦の張り具合を調整します。

弦が新しいと打突の度に伸びますので少しキツめにテンションをかけます。

但し、極端にきつく弦を張ってしまうと竹が反り、竹刀が割れる原因となりますので、適度な張り具合を早めにおぼえましょう。

弦上側

テンションをかけた状態を保持し、弦を剣先側に一旦返し、指で押さえ緩まないようにします。

弦まわし

柄皮の先端の裏に弦を廻します。

弦結び

巻きつける前に一旦止める為に結びます。

親糸を子糸で決めれば緩みません。

結んだ弦 弦巻きつけ1

画像のように巻きながら締めていきます。

およそ七巻きから八巻きが妥当です。

弦巻きつけ2 弦柄皮結着

巻き終わったら端末を結んで止めます。

弦締め込み

端末をペンチ等で充分に引いて締め込みます。

弦末端処理

余った弦の末端は柄皮に挟み込めば、弦の処理は終了です。

弦完成 中結巻きつけ1

弦の取り付けが終わりましたら、中結を結びます。

中結の取り付け位置は竹刀の長さの四分の一程度の部分です。

この取り付け位置が適切でないと物打の長さがおかしくなってしまうので、わからない場合は他の竹刀と比べるとよろしいかと思います。

中結巻きつけ2

竹刀の接触部分がズレないように、三周巻きつけます。

中結も新しい場合、打突の度に伸びますので、少々きつく巻いて構いません。

但し、極端にきつく巻きすぎると竹刀が割れる原因となりますので、若干の遊びがある方が良いです。

中結巻きつけ3

中結の末端を弦に一回くぐらせ絞ります。

中結巻きつけ4

一旦締め付けたら、三周巻いた上を通過し反対側の弦に巻きつけるようにします。

中結巻きつけ5 中結巻きつけ5

中結を内側から通し、再度絞ります。

中結巻きつけ6 中結巻きつけ7

この要領を繰り返します。

中結巻きつけ8 中結巻きつけ9

都度、絞り込み引っ張ります。

中結巻きつけ10 中結巻きつけ11 中結巻きつけ12

最後に中結の末端をペンチ等で引っ張ります。

中結締め付け

余った中結はハサミで切り取ってください。

竹刀油塗布

最後に薄く竹刀油をかけます。

この油により竹を乾燥から守ります。

竹刀油ふき取り

余分な油をタオルでふき取り、作業終了です。

竹刀完成

完成しました!!

※全日本剣道連盟 剣道試合・審判規則 細則 第2条の改正により変更。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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